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失業保険の金額は毎年8月1日に変わる
2026年改定の見方と自分への影響

失業保険(雇用保険の基本手当)でもらえる金額は、一度決まったらずっと同じというわけではありません。金額の計算に使う数字の一部は、毎年8月1日に切り替わります。この記事では、なぜ8月1日なのか、実際に何の数字が動くのか、そして自分の受給額に影響するのはどんな人なのかを、厚生労働省の公表資料にもとづいて整理します。

なぜ毎年8月1日に金額が変わるのか

失業保険の1日あたりの支給額を「基本手当日額」といいます。これは、離職前6ヶ月の賃金の総額(賞与を除く)を180で割った「賃金日額」に、給付率(50〜80%、60〜64歳は45〜80%)をかけて求めます。この計算の土台になる賃金日額には上限額と下限額があり、基本手当日額そのものにも年齢区分ごとの上限額と最低額が定められています。

この上限額・下限額は、固定された金額ではありません。世の中の賃金水準の変化に応じて改定される仕組みになっており、その切り替え日が毎年8月1日です。厚生労働省は例年7月下旬に、8月1日から適用する新しい額を報道発表しています。

今回の2026年(令和8年)8月1日の改定について、厚生労働省は「令和7年度の平均給与額が令和6年度と比べて約2.7%上昇したこと及び最低賃金日額の適用に伴うもの」と説明しています。つまり、社会全体の給与水準が上がれば上限額も上がり、下がれば下がりうる、という連動のしくみです。前の年度の賃金の動きが、1年ほど遅れて失業保険の金額の枠に反映される、と捉えるとイメージしやすいでしょう。

下限側にも別のしくみがあります。厚生労働省の資料によれば、2026年8月1日以降の基本手当日額の最低額は、最低賃金日額(地域別最低賃金の全国加重平均額×20÷7)に基本手当の給付率80%をかけて算定されています。同資料には「1,121円(令和8年4月1日時点での地域別最低賃金の全国加重平均額)×20÷7×0.8=2,562円」という計算例が示されています。最低賃金が引き上げられると、失業保険の下限額もそれに連動して動く関係にある、ということです。

8月1日に変わるのは「金額の枠」であって「日数」ではない

8月1日の改定でよくある誤解が、「失業保険の制度そのものが毎年変わる」というものです。実際に8月1日に切り替わるのは、次のような金額の枠にあたる数字です。

賃金日額の上限額・下限額基本手当日額を計算する土台。年齢区分ごとに上限が定められている
基本手当日額の上限額・最低額実際に1日あたり受け取れる額の天井と床
給付率が切り替わる賃金日額の範囲給付率80%が適用される範囲、80%から50%へ逓減する範囲、50%が適用される範囲の区切り
関連する給付の限度額厚生労働省は8月1日適用のリーフレットを、基本手当の受給者向けとは別に、高年齢雇用継続給付・介護休業給付・育児休業等給付の受給者向けにも公表している

一方で、所定給付日数(90日・120日・150日・330日といった日数の表)は、8月1日改定の対象に含まれていません。2026年8月1日の改定内容として厚生労働省が公表したのも金額に関する変更であり、給付日数の表は変更内容に入っていませんでした。同じく、待期7日間や、自己都合退職の給付制限(2025年4月の改正で2ヶ月から原則1ヶ月に短縮)といったルールも、8月1日の金額改定とは別の話です。給付制限のしくみについては給付制限1ヶ月とは?2025年4月改正をわかりやすく解説で詳しく扱っています。

改定後の額(2026年8月1日〜2027年7月31日 適用)と改定前との比較

2026年8月1日から適用される額と、その前日まで適用されていた額を並べます。以下は厚生労働省のリーフレットおよび報道発表資料に掲載された金額です。

離職時の年齢賃金日額の上限額基本手当日額の上限額
改定前改定後改定前改定後
29歳以下14,510円14,900円7,255円7,450円(+195円)
30〜44歳16,110円16,540円8,055円8,270円(+215円)
45〜59歳17,740円18,220円8,870円9,110円(+240円)
60〜64歳16,940円17,400円7,623円7,830円(+207円)
下限額(年齢共通)3,014円3,203円2,411円2,562円(+151円)

出典:厚生労働省リーフレット「雇用保険の基本手当日額が変更になります〜令和8年8月1日から〜」、および報道発表資料「雇用保険の基本手当日額の変更〜8月1日(土)から実施〜」。当サイトの計算にも改定後の額を使用しています。

給付率が切り替わる賃金日額の区切りも、あわせて引き上げられました。給付率80%が適用される範囲の上端は5,340円から5,480円に、80%から50%へ逓減する範囲の上端は13,140円から13,490円に、60〜64歳で80%から45%へ逓減する範囲の上端は11,800円から12,120円になっています。

2026年8月1日からの額について(公表・反映済み)

2026年8月1日から適用される額は、改定日の前日にあたる2026年7月31日に厚生労働省から公表されました。 前年の改定は2025年7月22日の報道発表でしたので、2026年は例年より遅い公表となりました。当サイトのシミュレーターは、この改定額を2026年8月1日に反映済みです。

公表内容の要点は次のとおりです。

発表日・実施日2026年(令和8年)7月31日に報道発表。2026年8月1日から実施
改定の理由令和7年度の平均給与額が令和6年度と比べて約2.7%上昇したこと、および最低賃金日額の適用に伴うもの
基本手当日額の上限額30歳未満7,450円/30〜44歳8,270円/45〜59歳9,110円/60〜64歳7,830円(いずれも引き上げ)
基本手当日額の最低額2,411円 → 2,562円(+151円)
ハローワークインターネットサービス「令和8年8月1日現在」の上限額として新しい額が掲載されています

最低額の2,562円は、1,121円(令和8年4月1日時点での地域別最低賃金の全国加重平均額)×20÷7×0.8という算式で示されています。

なお当サイトは、公表されていない数字を推測して掲載することはしていません。改定日の前日まで新額が公表されなかった間も、予想額を載せるのではなく「まだ公表されていない」と明示したうえで従前の公表額で計算していました。失業保険の額は生活設計に直結する情報であり、外れた数字が独り歩きすることの害のほうがはるかに大きいと考えるためです。

最新の額は、下記「出典」に挙げた厚生労働省のページでも直接確認できます。ニュース記事やまとめサイトの数字は前年の額のまま更新されていないことがあるため、金額を確認するときは適用期間の表示(「◯年8月1日から」「◯年7月31日まで」)を合わせて見ておくと安心です。

自分の受給額に影響するのはどんな人か

改定のニュースを見ても、「で、自分の金額は変わるのか」がわからないという声は多いはずです。影響の受け方は、離職前の賃金水準によって次の3つのパターンに分かれます。

①上限に届いている人
離職前の賃金日額が年齢区分ごとの上限額を超えている場合、賃金日額は上限額でいったん頭打ちになり、基本手当日額も上限額そのものになります。この層は、上限額が動けばそのまま影響を受ける位置にいます。給与水準が比較的高かった人ほど、このパターンに当てはまりやすくなります。

②下限に近い人
賃金日額が下限額を下回る場合は下限額が使われ、基本手当日額にも最低額が設定されています。前述のとおり最低額は最低賃金日額と連動するしくみのため、最低賃金の引き上げが続く局面では、この層も改定の影響を受けやすい位置にいます。

③上限にも下限にも当たらない人
「自分は上限に届いていないから関係ない」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。給付率が80%から50%へ逓減していく区間の区切りとなる賃金日額の範囲も、改定の対象に含まれているためです。実際、2026年8月1日の改定にあたって厚生労働省が示した例では、賃金日額が6,000円で60歳未満の受給資格者の基本手当日額が4,647円から4,683円に、賃金日額が9,000円の同条件では5,933円から6,013円になるとされています。上限に届いていない人でも、計算結果が動くことがあるということです。

なお、実際に自分の基本手当日額がいくらになるか、どの時点の額が適用されるかは、離職日・受給資格が決定された日・年齢区分などの個別の事情によって決まります。手元の書類での確認や、判断に迷う場合の相談先は、管轄のハローワークが確実です。

改定の時期に確認しておきたい3つのこと

1. 自分の年齢区分上限額は「29歳以下/30〜44歳/45〜59歳/60〜64歳」の年齢区分ごとに異なります。区分の境目に近い年齢の人は、どちらの区分で見るべきかを取り違えないよう注意が必要です
2. 見ている情報の適用期間解説記事や早見表は、前年の額のまま残っていることがあります。「◯年8月1日から適用」の表示を確認してください
3. ハローワークからの案内すでに受給中の人、これから手続きをする人とも、実際に適用される額や取扱いは交付される書類・窓口の案内で確認するのが確実です

当サイトのシミュレーターは、適用期間を明示したうえで厚生労働省の公表額を使って計算しており、2026年8月1日の改定額も反映済みです。次回の改定(2027年8月1日予定)も、公表され次第その値に更新します。受給開始のタイミングの目安はもらえる日カレンダー、金額の決まり方の全体像は失業保険はいくら?いつから?で確認できます。

よくある質問

Q. 失業保険の金額は毎年8月1日に変わるのですか?
A. 基本手当の計算に使う賃金日額の上限額・下限額や、基本手当日額の上限額・最低額は、毎年度の平均給与額の変動などに応じて8月1日に変更されます。2026年8月1日の改定について厚生労働省は、令和7年度の平均給与額が令和6年度と比べて約2.7%上昇したことおよび最低賃金日額の適用に伴うものと公表しています。

Q. 2026年8月1日からの新しい金額はいくらですか?
A. 2026年8月1日から適用される額は、改定日の前日にあたる2026年7月31日に厚生労働省が報道発表で公表しました。基本手当日額の上限額は30歳未満7,450円、30〜44歳8,270円、45〜59歳9,110円、60〜64歳7,830円、最低額は年齢に関係なく2,562円です。賃金日額の上限額は29歳以下14,900円、30〜44歳16,540円、45〜59歳18,220円、60〜64歳17,400円、下限額は3,203円で、いずれも2027年7月31日まで適用されます。

Q. 8月1日の改定で所定給付日数も変わりますか?
A. 8月1日の改定の対象は金額の枠です。2026年8月1日の改定では、賃金日額と基本手当日額の上限額・下限額、給付率が切り替わる賃金日額の範囲などが変更対象で、所定給付日数の表は変更内容に含まれていませんでした。

まとめ

失業保険の金額は、毎年8月1日に「金額の枠」が切り替わります。動くのは賃金日額の上限額・下限額、基本手当日額の上限額・最低額、そして給付率が切り替わる賃金日額の範囲であり、所定給付日数の表や給付制限のルールはこの改定とは別の軸です。上限に届いている人はもちろん、上限に届いていない人でも計算結果が動くことがあります。2026年8月1日の改定では、基本手当日額の上限額が年齢区分ごとに195円〜240円、最低額が151円引き上げられました。新しい額が公表される時期には、自分の年齢区分と、見ている情報の適用期間を確かめておくと安心です。まずは改定後の適用額をもとに、自分の場合の概算を出してみてください。

現在の適用額で、自分の場合の金額を計算してみましょう

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